2012年1月29日日曜日

本郷焼 / 宗像窯  宗像利浩



【会津本郷焼】
■産地   
福島県会津美里町

■歴史
1593年に城主蒲生氏郷が会津領主となり、若松城の大改修を行うにあたり、城郭の屋根を瓦葺とするため、播磨国(兵庫)から瓦工を招き黒瓦を製造したのが始まりとされる。

その後、1645年会津松平藩祖保科正之が、岩瀬郡長沼から尾張国瀬戸生まれの陶工(清水左衛門)を召抱え、本格的な陶器の製造が開始された。陶器の生産は藩の支援を受けて発展し、1800年には白磁の製法も開始された。

戊辰戦争中は陶工が藩士として出陣した留守に、製陶工場は戦火にかかって廃塵に帰したが10年経たずして復興。明治中期頃にはs欧米各国に盛んに輸出するまでになった。しかし大正5年にふたたび大火が発生し、製陶工場の大半を焼失。しかし、その後復興を遂げ、平成5年には陶器・磁器ともに経済産業省の伝統的工芸品産地として指定を受けるに至った。
(会津美里町ポータルサイト「会津本郷焼の歴史」より)

■特徴
陶器と磁器の両方ともに伝統的工芸品産地としての指定を受けている。東北最古のやきものの産地として400年もの歴史を誇る。また、1995年まで本郷窯の徒弟学校があり後継者の育成にも力をいれていた。雪国で海から遠い会津地方には「にしんの山椒漬」という郷土料理があり、そのにしんの山椒漬を漬けるにしん鉢は宗像窯独特のもの。このにしん鉢は1958年、ベルギーのブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞した。


会津地方は本郷焼・会津漆器・会津木綿など伝統工芸品がたくさんあり、それぞれに従事しておられるかたもたくさんいる。伝統工芸品を現代に生かすようさまざまな創意工夫をされており、そのひとつのイベント、昨年末まで開催されていた「会津・漆の芸術祭2011」に参加してきた。しかし、開催地の範囲広すぎたためか、開催期間が長かったためか、いまいち活気に乏しかったように思う。しかし近年は、若い作家たちが既成概念にとらわれない斬新なデザインやモチーフの作品を制作し、同年代の顧客の心を捕らえている。会津漆器では工房鈴蘭、本郷焼では樹ノ音工房など。






宗像窯で八代目当主 宗像利浩さんの鉢を購入。お話を伺うと、八代目利浩さんの器は、手に持って直接口をつけて味わえるようにとふちが広めにつくられているそう。釉薬は地元のナラ灰を主原料とし、飴釉・白釉・鉄釉・辰砂釉など。地元白鳳山でとれる的場陶土を使用。粘土のなかに砂と鉄分が微妙に混じりあい、生かけ焼成(釉薬が垂れたり、流れたりしやすいので釉薬に濃淡の変化がでる)が可能な土。宗像窯の質感や味わいはこの土からきているとのこと。

シンプルななかにも奥行きを感じ、何を盛っても素材が落ち着いてみえる。「用の美」を目指している宗像窯の作品は、食事を盛ってはじめて作品として完成する。重さがずっしりとしているので、ごはんの大切さという想いの重さも共にに食卓に運んでいるように感じる。この重さを手に感じ、直接口をつけて食事を味わうと、食事の素材を生かしている大地のおおらかさを改めて知るような。軽いサラダの葉物でさえもそう感じる。重さや素材を考えると、小さなこどものいる家庭には適していないのかもしれない。ただ、小さなころからこのようなやきもので食事を囲む機会に恵まれれば、食べるという行為そのものに対する意識も育ち、「食育」なぞいう画一的な教育のもと、味わうという独創性をつぶしてしまようなことにならないのに。





そのほかにも、上記写真を購入した本郷焼の窯元からすこし離れたところになる流紋焼を訪問。こちらは大久保陶石を主原料にしたやきものを制作している。やきものができあがるまでの工程を40分かけくわしく見学できる。私も小さなころに修学旅行で見学し工房で陶芸体験制作をした。会津の窯元では一番大きな窯元はないかと思う。即売所も併設されており、手ごろな値段のものから購入できるので、何千点、何万点というなかからきっときにいるやきものをみつけられるはず。1ヵ所で見学、体験、購入ができるので、お子様や大勢で訪問するのにはお勧め。



DMが届いたので告知。
風評被害で会津地方の観光客はいまだに戻っていないと聞きます。その土地の人やものにふれることも支援のひとつ。また、購入も。ぜひ足を運んでみてください。上記の作品は1万円前後で購入しました。


宗像窯八代  宗像利浩作陶展
【日時】  2012年2月3日(金)~2月9日(木)
【時間】  10:30~18:30(最終日 16:00まで)
【場所】  フォーシーズンズホテル椿山荘東京 アートギャラリーー