ラベル

ラベル やきもの の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル やきもの の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年7月14日土曜日

笠間焼 / 陶炎祭


毎年ゴールデンウィーク期間中に茨城県笠間芸術の森公園イベント広場で開催される「陶炎祭」。200軒以上の窯元、陶芸家が集まるやきものの祭典で、併設された舞台では音楽のイベントが行われ、また、国際色豊かな飲食店が軒を連ねる。若手からベテラン作家のやきものをビールとおいしいもの片手に見て回ることができるという夢のような祭典。ただし、公園の芝の上につくられたテントの集まりのため雨の翌日は足元がかなりぬかるむのでいい靴やヒールは履いていかないことをお勧めする。

お隣の県栃木県の益子で同時期に開催されている益子「春の陶器市」(益子の陶器市は春と秋の年2回)よりも、イベント、お祭り感が満載の笠間の陶炎祭のほうが個人的には気に入っている。ここ何年が続けて行っているが、年々参加ブースや来場者数も増えているように思う。

ひとつ注意が必要なのは、絶対に車では行かないほうがいいということ。

1. 駐車場までの道のりが抜け道なしのほぼ一車線。永遠の渋滞のため、父のみを車に残し早々と見切りをつけた家族が会場まで徒歩の確立80%。

2. ビールを飲むいい季節が到来し、おいしそうなたべものが並ぶブースがたくさんのためその誘惑に勝てる自信は0%。

3. 常磐線の友部駅より無料シャトルバスあり。

陶炎祭会場の隣には茨城県陶芸美術館、笠間工芸の丘があり陶芸体験や笠間周辺を拠点とする陶芸家の作品を購入することもできる。丸一日いても飽きることのない子供から大人まで楽しめる祭典となっている。

出展している店は同じところも多いが、そんななじみの店の新作を楽しんだり、若手作家専用ブース「笠間のたまご新人エリア」で、今後どのような作品をつくってゆくのか楽しみな作家を探すという楽しみ方もある。

そんな「笠間のたまご新人エリア」で見つけた作家さんを紹介する。

■砂山ちひろ

白磁の二重構造のボール。型をあらかじめ彫りだしてその中に粘土を流し込むという手法をとっているとのこと。石膏型つくりの茨城県窯業指導センターの研究員となっているようで、今後の活躍が楽しみ。もうひとつ気になった作品は、内側に光沢の白磁、外側にはサンドペーパーでこすったような粒子の粗いコップがあった。釉薬や模様などではなく、二つの違うテクスチャーを一つの作品の中に盛り込むのはなかなか見られない新鮮な発見だった。

その他、気になった作家さんを紹介。

■秋元智香

 
ひときわ賑わっていたブースが秋元さんのブース。笠間焼の先輩方もその賑わいぶりに、かわるがわるブースを偵察し、一言。二言。それに対し、「まだ勉強中なので・・・」と返していた彼女。まるでサラリーマンの質疑応答を見ているようなフェスティバルという場に相応しからぬ不思議な空気が・・・。とっぷりとした白磁の茶碗に呉須でシンプルかつ大胆に描かれた梅の木やシダの葉などの植物。とても躍動感がある。作品自体はとても軽い。波佐見焼きなどで作陶活動を広げてきたという秋元さんの活躍がこれからも楽しみ。




                                               

原田陶窯の原田譲さんの作品。陶器のように見えたがHPで確認すると磁器。朝鮮の古いやきものに影響を受けているという作品はとても繊細でフォルムが美しい。型を作成してその型に押し当てるという技法を用いているとブースで販売していた店員のかたが話していた。

2012年2月8日水曜日

大堀相馬焼 / 明月窯・吉峰窯

■産地
福島県双葉郡浪江町大字大堀
(旧藩政時代は「相馬焼」と呼ばれていたが、国の指定以来産地名「大堀」を入れて正式には「大堀相馬焼」と呼んでいる

■歴史
江戸時代から歴史を持つ大堀相馬焼。相馬藩では、これを藩の特産にしようと産地に瀬戸役所を設置して、資金の援助や原材料の確保など保護育成に努めた。これにより大堀の窯業は農家の副業として近隣八ヶ村に普及、江戸時代末期には窯元も100戸を超え、販路も北海道から関東一円、更には信州越後方面まで広がり、一大産地へと発展を遂げた。

その後、明治期から廃藩置県により藩の援助がなくなったことに加え、交通の発達による他産地との競合激化、さらには戦争による大きな打撃と、太平洋戦争の終結時まで大堀相馬焼は冬の時代を迎える、しかし、戦後、産地は立ち直り、市場は国内おろかアメリカまで広がり、「アイディアカップ」、「ダブルカップ」という名称で愛用された。

昭和53年には国の伝統的工芸品として指定を受けた。平成22年1月には、「大堀相馬焼」が地域団体商標として商標登録され、25軒の窯元が350年にわたる伝統を守りながら日々親しまれる製品づくりに努力している。
(大堀相馬焼共同組合公式HP「陶芸の杜おおぼり」より)


■特徴
①「青ひび」
貫入音と共に、「青ひび」と呼ばれるひび割れが、器全体に広がって地模様になっている。ひびにはすみを流しいれる。

②「走り駒」
狩野派の筆法といわれる「走り駒」の絵で、相馬藩の御神馬を熟練された筆使いで描かれている。窯元によっては手書きではなく、シルクスクリーンを用いでいるところもある。

③「二重焼」
二重焼き 002.jpg

大堀相馬焼の湯のみは冷めにくいといわれる。その原理に相当する技術。轆轤による成形の段階で、外側と内側を作り、焼前に被せることでおこなわれる。この技術を用いた焼き物は大堀相馬焼き以外ではまず見られない。二つ重なっていることで、「二重の喜び」「喜びが重なる」と、縁起物の贈答品としても人気。

④貫入音
素材と釉薬の収縮率の違いから、焼いたときの陶器の表面に繊細な音を伴って細かい亀裂が入る。これを貫入と呼ぶ。大堀相馬焼は、この貫入によって「青ひび」の地模様が刻まれる。この貫入音は「ふくしまの音30景」に登録されている。





大堀相馬焼は窯元が浪江町内にあるため、福島第一原発による避難区域として全村民が避難している。そのため、現在浪江で大堀相馬焼に従事しているかたはだれもいません。

私が2010年に訪問した際、郡山方面から約2時間。三春から国道288をつかい片道1車線の道路の両脇にはのどかな田園風景。コンビニすら大きな町や国道でしかぶつからないとないような道は、AM FMラジオもろくに入らず多少の恐怖心を覚えた。しかし、田んぼや自然は鮮やかであり、私の恐怖心は車、ラジオ、携帯それらのものから自分が離れる、離れているかもという非日常にすぐ入るような環境であるということからくるもの。都心に住む人間の甘え。

大堀相馬焼のHPでは25の窯元とあるが、実際直接訪問し作品を拝見できるような窯元は10件にも満たないような印象を受けた。基本的には入り口すら分からないような看板だけでている窯元も多い。

今回2窯元を紹介する。

・「明月窯」
DASH村というTOKIOの番組でも紹介されている長橋さんが運営する窯元。そんなことを知らずに訪問したのは、大堀相馬焼の窯元の中でも大堀相馬焼共同組合が運営する「陶芸の杜おおぼり」以外で一番入りやすい場所にあり、展示販売、見学も行っていたこと。

一人で車を降り入店すると、すぐ長橋さんが声をかけてきてくれTOKIOのことも含めいろいろと親切に説明してくれた。こちらの「走り駒」は基本的に型を利用しているとのことだったが、手書きでの「走り駒」の作品もある(やきもの自体はもちろん手作り)。相馬野馬追いと走り駒。地域の歴史と文化が積み重なり工芸品もできているということを改めて思うのだが、一瞬にしてその歴史、伝統、つながりを壊す原発など本当に必要なものなのか。

明月窯では大堀相馬焼の「二重焼」という性質を生かし、独自にビアマグを製造し販売していた。1点購入し、発泡酒でためしたが本当にひえひえの状態が続く。味のあるやきものだがもう少し飲み口を薄くすればのどごしがよくなるような気がするが、二重焼という性質上難しいのだろう。

そのほか、上記写真の小ぶりのやきものを3点購入。貫入線は墨をいれているか入れていないかの違いだそう。大堀焼相馬焼の主製品は青磁器による青ひび。日用品として厚く丈夫な作品が多い。確かに非常に丈夫である。また、食べ終わったときに底からでてくる「走り駒」は、友人などとやきものを話す話題のきっかけにもなりなんだか非常に可愛げのあるうつわたちだ。

・「吉峰窯」


陶暦

1977年 福島県浪江町生まれ
2000年 文化学院芸術専門学校陶磁科卒業
            鈴木三成氏に指導を受ける
2004年 日本伝統工芸展入選(07.08年入選)
            東日本伝統工芸展入選(05,06,07,08,09入選)
            益子陶芸展入選(06,08入選)
2005年 日本陶芸展入選(09入選)
2007年 日本陶芸展「大賞・桂宮賜杯」受賞
2009年 菊池ビエンナーレ展入選
            日本工芸会準会員

1977年生まれの志賀暁吉さんの作品が展示されている。「場が引き締まるような青姿を心がけている」という作品は、凛とした佇まいのなかの美しいフォルム、調和のとれた貫入。一目惚れでした。ただ、安月給、作品を購入できず。

志賀さんは「第19回日本陶芸展」において史上最年少となる「大賞・桂宮賜杯」を受賞。直接お話を伺ったがまだお若いのからなのか、朴訥とした感じだった。そこがまた作品へ対しての愛情を感じた。志賀さんの作品は低めの温度で焼いているので光沢を抑えた作品になっている。ただ、その抑え気味の光沢とたてに伸びるフォルムと貫入のバランスがすばらしく、手に取るのが怖いくらいだった。

志賀さんからは震災後2011年に一枚のはがきがきた。浪江からは場所を移し、福島県内で再度制作を再開したとのこと。ぜひとも福島をあきらめず、作品づくりを福島で続けてほしい。

志賀さんの作品は現代工芸藤野屋さんのサイトから購入可能。

2012年1月29日日曜日

本郷焼 / 宗像窯  宗像利浩



【会津本郷焼】
■産地   
福島県会津美里町

■歴史
1593年に城主蒲生氏郷が会津領主となり、若松城の大改修を行うにあたり、城郭の屋根を瓦葺とするため、播磨国(兵庫)から瓦工を招き黒瓦を製造したのが始まりとされる。

その後、1645年会津松平藩祖保科正之が、岩瀬郡長沼から尾張国瀬戸生まれの陶工(清水左衛門)を召抱え、本格的な陶器の製造が開始された。陶器の生産は藩の支援を受けて発展し、1800年には白磁の製法も開始された。

戊辰戦争中は陶工が藩士として出陣した留守に、製陶工場は戦火にかかって廃塵に帰したが10年経たずして復興。明治中期頃にはs欧米各国に盛んに輸出するまでになった。しかし大正5年にふたたび大火が発生し、製陶工場の大半を焼失。しかし、その後復興を遂げ、平成5年には陶器・磁器ともに経済産業省の伝統的工芸品産地として指定を受けるに至った。
(会津美里町ポータルサイト「会津本郷焼の歴史」より)

■特徴
陶器と磁器の両方ともに伝統的工芸品産地としての指定を受けている。東北最古のやきものの産地として400年もの歴史を誇る。また、1995年まで本郷窯の徒弟学校があり後継者の育成にも力をいれていた。雪国で海から遠い会津地方には「にしんの山椒漬」という郷土料理があり、そのにしんの山椒漬を漬けるにしん鉢は宗像窯独特のもの。このにしん鉢は1958年、ベルギーのブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞した。


会津地方は本郷焼・会津漆器・会津木綿など伝統工芸品がたくさんあり、それぞれに従事しておられるかたもたくさんいる。伝統工芸品を現代に生かすようさまざまな創意工夫をされており、そのひとつのイベント、昨年末まで開催されていた「会津・漆の芸術祭2011」に参加してきた。しかし、開催地の範囲広すぎたためか、開催期間が長かったためか、いまいち活気に乏しかったように思う。しかし近年は、若い作家たちが既成概念にとらわれない斬新なデザインやモチーフの作品を制作し、同年代の顧客の心を捕らえている。会津漆器では工房鈴蘭、本郷焼では樹ノ音工房など。






宗像窯で八代目当主 宗像利浩さんの鉢を購入。お話を伺うと、八代目利浩さんの器は、手に持って直接口をつけて味わえるようにとふちが広めにつくられているそう。釉薬は地元のナラ灰を主原料とし、飴釉・白釉・鉄釉・辰砂釉など。地元白鳳山でとれる的場陶土を使用。粘土のなかに砂と鉄分が微妙に混じりあい、生かけ焼成(釉薬が垂れたり、流れたりしやすいので釉薬に濃淡の変化がでる)が可能な土。宗像窯の質感や味わいはこの土からきているとのこと。

シンプルななかにも奥行きを感じ、何を盛っても素材が落ち着いてみえる。「用の美」を目指している宗像窯の作品は、食事を盛ってはじめて作品として完成する。重さがずっしりとしているので、ごはんの大切さという想いの重さも共にに食卓に運んでいるように感じる。この重さを手に感じ、直接口をつけて食事を味わうと、食事の素材を生かしている大地のおおらかさを改めて知るような。軽いサラダの葉物でさえもそう感じる。重さや素材を考えると、小さなこどものいる家庭には適していないのかもしれない。ただ、小さなころからこのようなやきもので食事を囲む機会に恵まれれば、食べるという行為そのものに対する意識も育ち、「食育」なぞいう画一的な教育のもと、味わうという独創性をつぶしてしまようなことにならないのに。





そのほかにも、上記写真を購入した本郷焼の窯元からすこし離れたところになる流紋焼を訪問。こちらは大久保陶石を主原料にしたやきものを制作している。やきものができあがるまでの工程を40分かけくわしく見学できる。私も小さなころに修学旅行で見学し工房で陶芸体験制作をした。会津の窯元では一番大きな窯元はないかと思う。即売所も併設されており、手ごろな値段のものから購入できるので、何千点、何万点というなかからきっときにいるやきものをみつけられるはず。1ヵ所で見学、体験、購入ができるので、お子様や大勢で訪問するのにはお勧め。



DMが届いたので告知。
風評被害で会津地方の観光客はいまだに戻っていないと聞きます。その土地の人やものにふれることも支援のひとつ。また、購入も。ぜひ足を運んでみてください。上記の作品は1万円前後で購入しました。


宗像窯八代  宗像利浩作陶展
【日時】  2012年2月3日(金)~2月9日(木)
【時間】  10:30~18:30(最終日 16:00まで)
【場所】  フォーシーズンズホテル椿山荘東京 アートギャラリーー